監修:インフュージョンクリニック 院長 伊藤 裕章 先生/看護師 阪上 佳誉子 氏
Q 潰瘍性大腸炎ってどんな病気?
A 炎症によって大腸の粘膜が傷つき、腹痛や下痢、粘血便(粘液と血液が混ざった便)などの症状が現れる、原因不明の病気です。
Q 完治はするの?
A 潰瘍性大腸炎は原因不明で、現時点で完治させる治療法はありません。しかし、適切な治療を受けることで通常の日常生活を送ることが可能です。
Q 治療はいつまで続ければいいの?
A 潰瘍性大腸炎は、現時点で完治させる治療法はなく、寛解(症状が治まった状態)を維持するため、継続して治療を行う必要があります。再燃(再び症状が現れること)を防ぐことで、通常の日常生活を送ることが可能です。
Q 治療せず放っておくとどうなるの?
A 潰瘍性大腸炎では、炎症の悪化や持続により、さまざまな合併症が現れることがあります。気になる症状がある場合は、まずは医師に相談するようにしましょう。
Q 炎症の範囲によってどのような違いがあるの?
A 潰瘍性大腸炎は、炎症(病変)の広がりの範囲によって「直腸炎型」 、「左側大腸炎型」、「全大腸炎型」の3タイプに分類されます。これらの分類は治療方法を決める際に重要な情報となります。
Q どのような経過をたどるの?
A 多くの潰瘍性大腸炎患者さんは、寛解(症状が治まった状態)と再燃(再び症状が現れること)を繰り返します。寿命は健康な人と差はありませんが、発症からの期間が長くなると大腸がんのリスクが高くなることが知られています。
Q 症状に波はあるの?
A 潰瘍性大腸炎の多くは、寛解(症状が治まった状態)と再燃(再び症状が現れること)を繰り返す「再燃寛解型」です。他にも、病気の勢いが強いままの「慢性持続型」や、症状が治まったあとそのまま再燃せずに経過する「初回発作型」などがあります。
Q 発症しやすい人の特徴はあるの?
A 潰瘍性大腸炎は若い年齢での発症が多く、30~39歳が発症年齢のピークです。性別による差はありません。
Q 患者さんはどれくらいいるの?
A 患者さんの数は年々増加し、2014年度の統計では18万人に達しました。
Q 主な症状は?
A 潰瘍性大腸炎の主な症状は、粘血便(粘液と血液が混ざった便)や下痢、下腹部の痛みです。
Q 腹痛以外の症状にはどのようなものがあるの?
A 発熱や貧血・脱水、食欲不振・体重減少が現れることがあります。また、腸だけでなく、他の部位に合併症が生じることもあります。
Q どのような原因で発症するの?
A 潰瘍性大腸炎の原因は解明されていません。しかし近年は、遺伝的な素因に環境因子が重なることで引き起こされた、異常な免疫反応のためではないかと考えられています。
Q どうやって診断するの?
A 潰瘍性大腸炎が疑われた場合、問診や血液・便の検査、大腸内視鏡検査などを経て総合的に診断を行います。
Q どのような検査をするの?
A 潰瘍性大腸炎では、診断時だけでなく、治療を始めてからも、さまざまな検査が行われます。血液検査や尿検査、便検査、大腸内視鏡検査など、複数の検査結果を組み合わせて、患者さんの病態を把握します。
Q 「寛解」とはどんな状態?
A 発症後に一旦症状が治まった状態のことを寛解と呼び、この時期は基本的に日常生活に制限はなく、学校に通ったり仕事をしたりすることもできます。
Q どういった状態を目指せば良いの?
A これまで潰瘍性大腸炎の治療では、臨床的寛解(患者さんが感じる症状が治まった状態)が目標とされてきましたが、最近では、より高い治療目標である「粘膜治癒」を目指すことが推奨されるようになっています。
Q 仕事や学校は続けられるの?
A 症状が治まる「寛解期」は、基本的に日常生活に制限はなく、学校に通ったり仕事を続けることが可能です。潰瘍性大腸炎と付き合っていくためには、症状がなくても治療を続け、再び症状が現れないようにすることが重要です。
Q 症状が再び現れたときは、仕事や学校はどうすればよいの?
A 症状が再び現れたときは、症状の程度によって入院が必要になる場合がありますが、通院ですむ場合は仕事や通学も可能です。
Q 食事で気をつけることは?
A 潰瘍性大腸炎の寛解期(症状が治まった状態)では、厳密な食事制限は必要ありません。病気の勢いが強い活動期には、症状の程度に合わせた食事制限が必要になります。
Q 出張や旅行はしてもいいの?
A 潰瘍性大腸炎の寛解期(症状が治まった状態)には、旅行や出張が可能です。病気の勢いが強い活動期には、すぐに来院できないような場所への長期出張や旅行は控えたほうが無難です。
Q 妊娠や出産には影響するの?
A 寛解期(症状が治まった状態)であれば、妊娠や出産に悪影響を及ぼすことはありません。しかし病気の勢いが強まる活動期には、不妊率や早産・流産のリスクが高くなることが知られています。また、薬の種類によっては胎児に影響を及ぼす可能性があるため、治療中に妊娠がわかったら、主治医に相談するようにしましょう。
Q 経済的な支援は受けられるの?
A 潰瘍性大腸炎は、厚生労働省が定める指定難病の一つであるため、「難病法による医療費助成」の対象となります。医療費が高額の際には、 「難病法による医療費助成」と高額療養費制度を併用することもできます。

医師への相談シート

気になる症状がある場合はたとえ症状が一時的に治まっていても、主治医に伝えることが重要です。「いつもの症状」や「いつもはすぐによくなる症状」であっても、医師が粘膜治癒に至っていないサイン、または再燃の徴候と捉えることがありますので、医師が適切な対応をとれるように、遠慮せず伝えるようにしましょう。また、治療や日常生活に関しても相談したいことがございましたら、主治医の先生にお聞きください。